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PNC TJ1601 98-004, 16 Pages, 1998/03
原子力に関する環境影響評価は局地を対象としたものが多く、評価モデルの各パラメータはその対象地域固有の値を用いている。近年、対象地域を限定しないGeneral modelの開発が進められているが、土壌性状等の環境条件は地域によって大きく変動するため、利用するパラメータも広範な環境条件に対応できるものを収集する必要がある。本調査研究は、その一環として、我が国における地質分布、植生等について系統的に取りまとめるとともに、土壌の物理・化学的性状と各種元素の土壌粒子への収着因子の解析及び可吸態にに関する調査を実施し、General modelに活用可能なパラメータを整備することを目的とする。
渡部 豪; 浅森 浩一
no journal, ,
本研究では、GNSS観測データから推定した2016年熊本地震に伴うひずみ解放量と、活断層データに基づくひずみ速度との比較によって、震源域周辺における測地学的・地質学的ひずみ速度の関係について検討した。この結果、2016年熊本地震により最大で7.110のせん断ひずみが解放されたことが明らかとなり、活断層データからは、震源域で2.310/yrのせん断ひずみ速度が推定された。せん断ひずみとせん断ひずみ速度の比を計算することで断層の活動間隔を推定し、断層の活動間隔は3,100年であることが示された。この結果は、活断層調査より推定された平均活動間隔とほぼ一致し、熊本地震は過去10万年間続く断層運動と整合的であることを示唆している。
渡部 豪; 雑賀 敦; 浅森 浩一
no journal, ,
九州南部には、GNSS速度場を用いたひずみ速度の推定から、せん断ひずみ速度の高い領域(九州南部のせん断帯)の存在が明らかにされている。さらに、同領域では、1997年にマグニチュード6クラスの地震が2回発生している。しかし、それらの地震活動や高いせん断ひずみ速度に対応する明瞭な活断層の存在は認められていない。このような現在の活動と過去の変動傾向との関連性を明らかにすることは、地質環境の長期安定性を検討する上で重要であると考えられる。そこで、本研究では、将来の地殻変動をモデル化する技術開発の一環として、比較的最近の時代に変動が開始したと考えられるせん断帯の地殻変動を把握するため、九州南部のせん断帯と直交する方向に10点のGNSS観測点を設置し、2016年2-3月に稠密観測を開始した。これらの稠密観測から得られたデータを用いて、変位速度の推定を行ったところ、周辺の国土地理院観測点の変位速度と調和的な結果が得られた。しかし、この期間の観測データには、2016年4月に発生した熊本地震の余効変動の影響が含まれると考えられる。そのため、観測データの時系列に対して対数近似などの余効変動の推定を経て、せん断帯での地殻変動の抽出を行う必要がある。
渡部 豪; 雑賀 敦; 浅森 浩一; 島田 顕臣; 梅田 浩司*
no journal, ,
近年、GPS観測に基づく地殻の変位速度場から、九州地方南部にせん断ひずみ速度の大きな領域が存在することが指摘されているが、この変動に対応する活断層は認められていない。本研究では、同領域の地殻変動を詳細に推定するため、平成28年2-3月に10点のGNSS稠密観測網での観測を開始した。しかし、観測開始より約一か月後の2016年4月に熊本地震が発生し、稠密観測点でも地震時のステップや余効変動が捉えられた。せん断帯周辺の定常的な運動像を得るには、この地震の余効変動を推定・除去した上で地殻変動の議論を行う必要がある。そこで、同観測網で得られた変位速度に対し、熊本地震の粘性緩和と桜島の火山性変動を補正し、せん断帯に平行な方向の速度プロファイルを求めた。その結果、熊本地震前後で地殻変動パターンがよく一致することが明らかになった。これは、せん断帯の定常的な変動が熊本地震の発生の有無によらず継続していることを示しており、せん断帯の地下深部における定常的な断層すべりの存在を示唆する。